ブブ美エクスペリエンス

ブブ美が体験したことや気になって調べたこと、実際に試した結果(人体実験)を発表しているブログ。ネットで見つけたレシピを作った感想なども書いてます。

住んでいる街について知りたい

 全知全能の神になりたいとは思わないけど、せめて自分の知っている街については知っておきたいと思っている。だから時間を見つけては散歩に出かけて、時間と足の裏がゆるす限り徒歩で移動する。気ままにワクワクする方へ足を向けていると、自分だけのお気に入りのスポットを見つけることが出来るのだ。それはお店だったり、公園だったり、神社だったりと様々で、見つけた場所は、お気に入りの服ばかりが犇めき合うクローゼットのように、記憶にぶら下げておく。そうして服を着るようにして、お気に入りの場所を目的地にして新たな散歩へと向かうのだ。

 

 私にとって行き先は服と同じなので、その雰囲気や景色を他人に見せたいという欲が湧いてくる。犬にも今のように気軽に触れることが出来る前からお気に入りの場所を紹介していたし、それは関係が変わった今でも同じだ。今の関係になる前に、お気に入りの神社を案内した帰り道に、近くに神道や仏教、カトリック等とは異なった、謎の宗教色が強い建物があることを思い出して伝えた。それでは見に行ってみようと前を通ったところ、その団体が主催する青空市の告知を犬が見つけた。一見すると、普通の地域のイベントの案内のようだが、「有機野菜」「卵」「手作りお菓子」の中に「御神水」というキーワードを見つけて、私たちははしゃいだ。うっすらと漂っていた「らしさ」が確信へと変わった。

 

犬はそれを興味深そうに写真に納め、後日、そのお誘いを受けることになる。因みにこれが、犬と深い関係になって初めて二人で出かけた先になる。断わっておくが、誘われたのも、了承したのもそういう仲になる前だ。でも、付き合って初めてのデートが「謎の宗教団体の青空市」というのはエピソードとして非常に美味しいので、大いに利用している。犬の知り合いを紹介してもらった時も、これで笑いをとれた。

 

 さて、イベントに向かうには正装をしなければならない。中堅社会人なのでTPOをわきまえた服装をしなければ。なので、ドラマ「TRICK」の山田のような地味な服装で行くことを犬に伝えた。犬からは上田教授のようなチノパンでカッターシャツにベストを着るという返答の後に、教授の著書『どんと来い、超常現象』を購入したと連絡があった。その報告を読んで、爆笑するのと同時に。教授の著書まで購入することを思いつかなかったことに唇を噛んだ。

 

 TRICKのドラマや劇場版、スピンオフの矢部警部補まで見て、準備を整えて当日を迎えた。現場に到着すると、にこやかに迎えてくれるお店の方々。私の知り合いの中で最も社交性が高い人物である犬は、宗教団体の相手でも物怖じすること無く話しをしている。私も、いつ勧誘を受けるのか緊張しながらも、努めてそれを隠すように努力し、向こうさんの返事にうんうんと頷いた。社交性の塊である犬は相手にドンドン質問を投げる。貰った回答を踏まえてさらに質問を投げるので、犬に対する向こうの好感度が質問をするたびに上がっているのがみてとれた。売られている野菜の事、どれぐらいの頻度で開催されているのかなど聞き出し、無理矢理売りつけられたり、一括購入させられたりしないものなのか、と緊張を少し解いたところ、「市販のものには良くないものが入っているから」という如何にもなキーワードが発せられ、途端に私の精神は現場復帰した。しかし、以降はそれらしいワードがでることは無く、ご神体にもお参りを行った。日本ではメジャーではない参拝方法だったが、後から調べてみると、海外ではメジャーなもので、独自に進化したものではないようだった。

 

 参拝を終えて帰ろうとしたところ、犬が「チラシに書いてある御神水はどれですか?」と質問をした。あまりに唐突だったため、「なにを言っている」と驚愕の表情を浮かべそうになったが、咄嗟に「私も気になる」と興味深々のような表情を浮かべることができた。たくさんのドラマや映画を見てきた成果がここででた。

 相手方は丁寧に「こちらで売っています」と売り場へ案内してくれた。机の上には3種類のペットボトルが並んでおり、一見すると何が違うのかわからない。犬もそれは同じで「これって何が違うんですか?」と素直に聞いた。躊躇するような質問も平気でする犬の肝が欲しい。

すると売り場の方は真ん中に置かれたものを指さし、「これは陽の気がたくさん詰まっています」と答え、犬も「じゃあ、その陽の気が沢山詰まっているものをください」と言って購入して帰った。

神水は犬の友人にプレゼントされ、後日友人による食レポ動画が送られてきた。味と効果に関しては、ここでは触れないでおく。

 

さて、初デートが中々トリッキーな場所だったが、実は宗教団体以外の場所にも行った。

9月の頭、まだまだ夏の気配が背中にくっついている日中だったが、夕方には秋の訪れを感じる日だった。

青い空に浮かぶ雲がほんのりピンク色に薄付く中、音楽を聴きながら飲んだアイスコーヒーの味と、秋風を頬に受けながら微睡んだ時間も私は忘れないだろう。

宗教団体のような刺激的な体験も、音楽を聴きながら外でのんびりと過ごす時間、どちらもこれから沢山、犬と体験できたら良いなと思う。

 


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