ブブ美エクスペリエンス

ブブ美が体験したことや気になって調べたこと、実際に試した結果(人体実験)を発表しているブログ。ネットで見つけたレシピを作った感想なども書いてます。

カンボジアの朝、元町の朝

旅行というものに興味がなかった。
そもそも住んでいる所が観光地だし、電車にすこし揺られれば大阪や京都に辿り着ける。
雑誌の観光地の紹介を見て行ってみたい、と思うことはあっても、思うだけで行動に移すことはあまりなかった。
なので、旅行に行く際は友人や家族などの周囲の人間に引っ張られて行くことが殆どで、加えて高所恐怖症のため、基本的には陸路で行ける場所を選んでいた。
唯一海外へ行ったのは修学旅行の台湾で、行き帰りの飛行機は恐怖のあまり、友人の手首に痣ができるほど握ってしまったことがある。
なので、海外なんて以ての外と思っていた。

しかし、最近は海外に行きたいと思っている。
海外、カンボジアに行ってみたい。


今月の頭まで犬がカンボジアに行っていた。
仕事の関係だそうで、滞在中は現地の写真や動画を沢山送ってくれた。
そこに写っている穏やかな空気、現地の人の笑顔。
単純に「いいな」と思った。
ピリついている空気が写真や映像から伝わってこないのだ。
全身が暖かい毛布に包まれているような空気感。
味わってみたい。

あと、カンボジアは朝日がとても綺麗らしい。
何気なく読み返していた片桐はいりさんのエッセイでカンボジアの朝日について書いてある部分があった。
好きな本で、何度も読み返していたはずなのだが、その時は特に気にも留めず、話のメインであるヘルシンキの食事、ベリーたっぷりの料理やどこにでも現れるじゃがいも、苦労して手に入れたニラの話など、食べ物の話題に心を膨らませていた。
しかし、改めて読んでみると、キラキラと輝くカンボジアの朝日を顔いっぱいに受けてみたくなった。

カンボジアに行ってみたい。
犬の影響を受けたのかと言われると、なんとなく違う気がする。
影響を受ける、というよりは考えが組み替えられて、以前は目につかなかったものが、視界に入るようになってきたというのが私の感覚だ。
休日、日が昇り切る前の朝日を浴びながら散歩をするのは好きだし、穏やかに過ごすのは言わずもがなだ。
犬のカンボジアのお土産話を聞いて、行きたい気持ちがさらに強まったのも事実だが。


ところでカンボジアと日本には時差が2時間ある。
朝の7時頃に件のエッセイのカンボジアについて書かれている所を読むと、ちょうど今頃、こんな朝日がカンボジアを照らし始めているのかと、思いを馳せてちょっぴり旅行に行った気分に浸る。
ほんの数ヶ月まで興味がなかった国の朝日を熱望する自分に少し笑ってしまう。
犬が向こうに行っている間、会いたくなった夜には早めに起きてこの儀式を行ったし、今でも心がすこし疲れた日にもしている。


カンボジアの朝日と空気を纏いたい。いつか絶対。
そう思いながら、今日も職場のビルや家のベランダから階下を見下ろしている。
飛行機に乗るため、高所恐怖症を克服する訓練だ。